SNSマーケティングとは?具体的な手法やメリットデメリットを解説
近況の発信や情報収集を目的に、日常的に利用されているSNSは、マーケティングの手法としても活用されるようになりました。SNSマーケティングは、ほかのマーケティング施策と比較しメリットがある一方で注意すべきデメリットもあります。
今回の記事では、SNSマーケティングの具体的な手法とメリット、デメリット、始め方や成功するためのポイントを解説します。
SNSマーケティングとは
SNSマーケティングとは、SNS(Social Networking Service)を活用して行うデジタルマーケティング活動のことです。SMM(ソーシャルメディアマーケティング)とも呼ばれています。企業が自社のアカウントをSNS上に開設してユーザーとコミュニケーションを取ったり、SNS上に広告を出稿したりするのが、代表的なSNSマーケティングの手法です。
SNSは企業とユーザーの双方向のやり取りを介して、ユーザーからコメントやフォローなどを評価として受ける「アーンドメディア」に該当します。アーンドメディアには、ほかにブログや口コミサイトがあります。
SNSマーケティングが重要視されている理由
SNSマーケティングは、デジタルマーケティング戦略として業種を問わず多くの企業が導入しています。SNSマーケティングが重要視される理由を順に解説します。
幅広い層へSNSが普及している
スマートフォンが若年層だけでなく幅広い年齢層へ普及したことを受けて、SNSも多くの人が活用するようになりました。総務省の「令和4年通信利用動向調査」によると、スマートフォンの個人での保有割合は77.3%を超え、SNSは全体の80%が利用しているとの結果が出ました。特に70~79歳は63.9%、80歳以上は53.8%と高齢者層のSNS利用率も高く、増加傾向にあります。若年層だけでなく、幅広い年齢層にアプローチできることからSNSがマーケティングに活用されるようになりました。
SNS検索で情報を探す人が多い
総務省の「令和4年通信利用動向調査」では、SNSの利用目的として「知りたい情報を探す」と回答した人が64.5%、「災害発生時の情報収取・発信」と回答した人が24.9%でした。SNS上では、検索ワードやハッシュタグ(#)を通じての情報検索ができます。SNSマーケティングを活用すれば検索エンジンからの自然流入以外でも、自ら情報収集をしているユーザーの流入が望めます。
商品を購買するときに、SNSの情報を参考にしている人が多い
ユーザーが商品を購入するときに、口コミを参考することも多いです。マイボイスコム株式会社の実施した「ネット上の口コミ情報に関するインターネット調査」では、商品・サービスなどを購入・利用する時に、ネット上の口コミ情報を参考にすると答えた人は全体の約55%に上りました。
SNSは実際に購入した商品の画像とともに使用感などの情報が投稿されるため、参考にするユーザーが多いです。すでに商品の購入やサービスの契約を検討しているユーザー層にも効果的にアプローチできることから、SNSマーケティングの需要は高まっていると言えるでしょう。
SNSマーケティングのメリット
SNSマーケティングに取り組むことで得られるメリットを解説します。
企業・商品・サービスの認知度が拡大する
SNSは拡散力の高いメディアです。SNSの投稿に興味を持ったユーザーがシェアをすると、直接投稿を見たユーザー以外にも投稿された情報が拡散されます。SNSを通じて商品やサービスを知らないユーザーへも、効果的にアプローチできるでしょう。投稿の内容によっては爆発的に拡散する(バズる)ことがあります。自社の商品やサービスに関するSNS投稿がバズると、低コストで多くのユーザーに商品やサービス、自社の情報を認知してもらえます。
SNSの拡散力を活かしたマーケティングの手法に、フォロワー数の多いユーザーやインフルエンサーに自社や商品を知ってもらい、自発的に紹介してもらう手法があります。ユーザーやインフルエンサーの投稿を通じて、高い宣伝効果が得られる可能性も高いです。
情報伝達のスピードが向上する
SNSは即時性が高く、スピード感のある情報伝達が可能です。これを活かし期限の迫ったセールやクーポンの情報、新商品や限定販売の情報など時間に制限のある情報もスピーディーにユーザーへ届けられます。投稿に対するユーザーのリアルタイムの反応にもすぐにアプローチできるため、即効性のあるコミュニケーションを介してユーザーとの関係を深められるのもメリットです。
顧客ロイヤリティが向上する
顧客ロイヤリティとは、顧客が企業や商品、サービス、ブランドに対して感じる信頼や愛着のことです。SNSを通じて企業とユーザーが交流をすると、ユーザーから企業への共感や愛着、信頼などの気持ちが生まれるため顧客ロイヤリティが高まります。
顧客ロイヤリティが高まったユーザーは、企業や商品のファンとして自ら情報を発信したり、拡散したりすることが期待できます。さらに、顧客ロイヤリティの高いユーザーはLTV(ライフタイムバリュー)の向上により企業へ大きな利益をもたらす可能性が高いです。
LTVとは「顧客生涯価値」と訳され、ある顧客が自社の利用開始から終了までの期間に、自社へどれだけの利益をもたらすかを表した指標です。顧客ロイヤリティの高いユーザーは自社や商品のファンのため、競合よりも自社の商品やサービスを選んで利用するリピーターになります。その結果LTVが高まり、自社への大きな利益につながります。
顧客獲得単価・費用対効果の改善
TwitterやInstagram、Facebookなどのアクティブユーザーが非常に多い有名なSNSで自社アカウントを作成し運用するSNSマーケティングは、無料で始められます。初期コストが低く抑えられるため、費用対効果が高いだけでなく、複数の施策を並行し効果が高い手法へ注力する、といったことも可能です。
従来の広告に反応しない層にリーチできる
若い世代は、新聞や雑誌広告よりもSNSやWebメディア上の広告に購買意欲を促進される傾向があります。株式会社ネオマーケティングが全国の15歳~25歳の男女6953人を対象に「Z世代」をテーマに行った調査では、全体の79.8%が「普段チェックする情報源」を「SNS」と答えています。
若年層をターゲットにした商品やサービスの場合、SNSマーケティングを活用することで効果的なアプローチが期待できます。
SNSマーケティングのデメリット
SNSマーケティングを導入する前に覚えておきたいデメリットを解説します。
SNS運用担当者に負担がかかる
SNSマーケティングはすぐに効果は出ず、長期的な運用が必要です。以下のようなポイントで、SNS運用担当者に多くの負担がかかります。
- SNS運用に多くの時間を費やす
- アカウントの投稿に寄せられたコメントへの対応など、ユーザーと多くのコミュニケーションを取る必要がある
- SNSにおけるマナーを身に着ける必要がある
- 個人情報の取り扱いに関するモラルを遵守する必要がある
- インターネット上でのセキュリティ意識を理解する必要がある
社員が本来の業務と兼務するとSNS運用業務で勤務時間を圧迫してしまい、本来の業務に手が付けられなくなってしまう可能性も高いです。SNS運用で業務上の時間を多く割ける担当者を決めておくのが重要です。
炎上するリスクがある
SNSは拡散力が高いというメリットがある分、常に炎上リスクがあります。SNSに不適切な投稿をしたり、企業として不適切な情報の取り扱いをしたりといった場合、すぐに拡散され炎上してしまうでしょう。
炎上を防ぐためには、しっかりしたネットリテラシーや運用体制の構築が求められます。SNSでの発信基準を定める、担当者ひとりだけでなく複数人で運営する、SNS運営以外のスタッフが投稿をチェックするなど、発信やチェック体制を整えましょう。万が一炎上してしまった場合を考え、投稿後のモニタリングの徹底、危機管理フローの構築などの対策をしておくと安心です。
SNSマーケティングで活用する5つの手法
SNSマーケティングの代表的な手法は、以下の5つです。
- SNSアカウント運用
- SNS広告配信
- SNSキャンペーン
- インフルエンサーマーケティング
- ソーシャルリスニング
それぞれの手法ごとの特徴を解説します。
SNSアカウント運用
SNS上に自社のアカウントを開設し、企業の公式アカウントを運用する手法です。自社アカウントからの投稿を通じ、顧客やリード(見込み顧客)とコミュニケーションを取ってSNSを運用していきます。自社のアカウントは無料で開設できるため、コストをかけずに顧客やリードへの情報発信、顧客接点の創出、関係性の構築、企業のブランディングなどが可能です。ただし不適切な投稿などにより炎上するリスクがあるのを覚えておきましょう。投稿の内容を均一化する、チェック体制を整えるなどの炎上を防ぐ対策が必要です。
TwitterやInstagram、TikTokなどのSNSはユーザーのデータ分析ができるビジネス用アカウントの開設も可能です。マーケティングに活かせるユーザーのデータが収集できるメリットがあるため、必要に応じてビジネス用アカウントの開設も検討してみましょう。
SNS広告配信
SNS上で広告を配信する手法がSNS広告配信です。SNS広告はさまざまなタイプのものが用意されていますが、一般の投稿と同じようなスタイルでユーザーのタイムラインやフィード上に表示されることが多くなっています。一目見ただけでは広告とは分からず、自然な形でユーザーに伝えたい情報やメッセージを届けられるのが魅力です。
広告の配信にはコストがかかりますが、SNS広告は安価で配信できるものも多く、費用対効果が高いという特徴もあります。SNS上に掲載するため、テキストのみではなく画像や動画を活用してPR力の高い広告を配信することも可能です。ただし、広告のターゲットやキーワード設定、広告からのデータ取得や成果の分析など、SNS広告の出稿や運用に関する知識が必要になります。
SNSキャンペーン
SNSキャンペーンとは、SNSを介してユーザー参加型のキャンペーンを開催する施策です。「#●●を付けて投稿したらプレゼント」「フォローとリツイートをしたら抽選で●●ご招待」などSNS上でプレゼントがもらえる、コンテストなどのキャンペーンを展開し、ユーザーの投稿での参加を募ります。キャンペーンは期間限定で開催されるため、短期間で大きな効果を得やすいのが特徴です。SNSキャンペーンは、おもに商品やサービスの認知拡大、ユーザーとの関係性の強化、自社アカウントのフォロワー増加による新規リード獲得やブランディングなどを目的として行われます。
また、キャンペーンに参加したユーザーの投稿は「UGC(ユーザーの作るコンテンツ)」になります。UGCが増えることで、SNSで商品やサービスに関する情報収集をしているユーザーに対して「人気のある商品」「話題のサービス」といった印象を与えやすくなるメリットがあります。そのため新規の顧客獲得はもちろん既存のファンの顧客ロイヤリティを高める施策としても有効です。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとは、SNS上で活躍する人気インスタグラマーや話題のユーチューバーなどの「インフルエンサー」を起用したSNSマーケティングの手法です。人気のあるインフルエンサーを起用し自社の商品やサービス、ブランドを紹介する投稿をしてもらうことで、消費者の購買行動に影響を与えます。
インフルエンサーを起用できれば、そのインフルエンサーのファン層に対して効果的なアピールができます。ファン層へは企業の公式アカウントからの投稿やSNS広告よりも、インフルエンサーの投稿の方が受け入れられてもらいやすい傾向にあるためです。運用するSNSやインフルエンサーの持つ良さや特性を活かすことで、マーケティングの効果も最大化できます。逆にアピールしたい商品やサービスとインフルエンサーの親和性が低いと、効果的なアピールにはならず拡散もされません。起用するインフルエンサーの選定は慎重に行う必要があります。
ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングとは、SNSから消費者の声を収集し、施策に活用するマーケティング手法です。SNSでの投稿のほか、ブログや口コミサイトなどに投稿されたユーザーの意見を収集、分析し、マーケティングの施策や戦略に活用します。消費者の意見を収集する手法にはアンケートがありますが、ソーシャルリスニングからはアンケートよりも消費者のリアルな意見を収集できる傾向にあります。
SNSアカウント運用やSNS広告、インフルエンサーマーケティングの4つの手法の中で、どの施策がもっとも有効なのかを判断する材料としてもソーシャルリスニングは活用されます。消費者の意見を聞くリサーチを目的とした施策としてだけでなく、SNSマーケティングの戦略の方向性を決めるうえでも重要な役割を持っていると言えるでしょう。
SNSマーケティングの始め方
SNSマーケティングは、以下の4ステップを経て導入できます。
- SNSマーケティングを行う目的・ターゲットを明確にする
- 目的を達成するために活用するSNSと手法を決める
- 目的達成のためのKPIを設定する
- 施策の実行と結果の分析
それぞれのステップごとにやるべきことを順に解説します。
STEP1:SNSマーケティングを行う目的・ターゲットを明確にする
まずSNSマーケティングの目的とターゲットを明確にします。以下のポイントで目的とターゲットを設定しましょう。
- 何のためにSNSマーケティングを行うのか
- どういった効果を得たいのか
- 誰に届けたいのか
SNSはプラットフォームによって以下のように特徴やメリットが異なります。
SNS名 | 主要なユーザーの年齢層 | 特徴 |
---|---|---|
10~20代 | ・テキストベースでのコミュニケーション ・即時性が高い ・トレンドのキーワード検索がしやすい ・開放的なコミュニティ | |
40~50代 | ・実名での登録が原則 ・閉鎖的なコミュニティ ・ビジネス目的での利用が多い ・世界最大のユーザー数 | |
20~40代 | ・画像による視覚的なコミュニケーション ・24時間限定公開のストーリーズ機能がある ・インフルエンサーマーケティングと併用されることが多い | |
LINE | 10~60代(70代、80代にも使われている) | ・無料の通話機能あり ・スタンプでのコミュニケーションができる |
TikTok | 10~30代(10代の利用が多い) | ・縦型フルスクリーンの動画コミュニティ ・1分以内の動画がほとんどのため、ながら見されにくくユーザーが集中して閲覧することが多い ・拡散性が高い |
設定したターゲットや目的に合うSNSのプラットフォームを選ぶことで、SNSマーケティングで高い効果が得られます。また、SNSマーケティングの目的によって選ぶべき施策も異なります。ターゲットや目的が明確になっていないとSNSプラットフォームの選定や施策の戦略立案ができません。まずはターゲットと目的を明確にしましょう。
STEP2:目的を達成するために活用するSNSと手法を決める
SNSマーケティングのターゲットと目的を明確にしたら、マーケティングで利用するSNSのプラットフォームと具体的な手法を選定します。前述通り、各SNSによってメインユーザーの層は異なるため自社のターゲットとなるユーザーの多いSNSを選ぶことが重要です。
以下は令和4年に総務省が発表した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」による、主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率のデータです。
たとえば30~40代のビジネスパーソンをターゲットにしたい、または商材がBtoB向けならFacebook、20~30代の女性をターゲットにしたい、または商材がアパレルやコスメ、スイーツなどのビジュアル面での訴求を重視したいものならInstagram、幅広い年齢層にアプローチしたいならLINEがプラットフォームの選択肢となります。
利用するSNSプラットフォームを決めたら、次に具体的なSNSマーケティングの手法を選定します。手法は、前のステップで設定した目的に合うものを選びましょう。たとえば長期的な情報発信やユーザーとのコミュニケーションによってファン化(見込み顧客化)を目的とするなら「SNSアカウント運用」、新商品発売などユーザーの認知を獲得したいなら「SNS広告」や「インフルエンサーマーケティング」、繁忙期に話題を作り集客したいなら「SNSキャンペーン」が選択肢となります。
STEP3:目的達成のためのKPIを設定する
SNSマーケティングのプラットフォームや手法を選定したら、目的を達成するためにKPIを設定します。KPIとは、最終的な目的を達成するために中間地点に設定する定量的な指標です。以下のように具体的な数値や期間をふまえて、KPIを設定しましょう。
- 1か月にフォロワーを○○人ずつ増やす
- SNS経由の販売数を月○○件アップさせる
- キャンペーンに関するユーザーからのUGCを月○○件投稿してもらう
STEP4:施策の実行と結果の分析
KPIの設定が終わったら、具体的なSNSマーケティングの施策を実行します。SNSマーケティングはただ施策を実行するだけでなく、中長期的に運用することで成果がでます。施策がどのような成果を上げたかを分析するようにしましょう。結果の分析はKPIの達成度合いをチェックして行います。
KPIを達成できていれば成功要因を、達成できていなければ原因や課題をデータ分析を元に考え、必要に応じて施策や戦略の改善を行います。施策や戦略の改善には、競合他社が行っている施策や人気インフルエンサーの使っている手法を参考に、役立つノウハウを吸収するのも有効です。
SNSマーケティングで成功するコツ
SNSマーケティングを成功させるポイントのひとつに、「各SNSのプラットフォームや導入する手法の特性を深く理解すること」があります。SNSのプラットフォームも手法も数多くあるため、SNSマーケティングで立案する戦略や具体的な施策も多岐にわたります。さらにSNSのプラットフォームも手法も増減やアップデートを繰り返しているため、つねに最新の知識やスキルを得つつSNSマーケティングを運用していかなければいけません。
自社内で最新SNSマーケティングの知見を収集し続けるのが難しければ、プロのスキルを有効活用するのも1つの手です。
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また、SNSマーケティングの目標を達成するために、数値的根拠のある計測ツールを使って成果を計測し、データ分析によるレポート報告、改善のご提案を月1回の定例ミーティングで行います。SNSマーケティングの目的達成まで併走したサポートをご提供しておりますので、ぜひご相談ください。