成功事例から学ぶ!モバイルファーストデザインの重要性や手法
企業や店舗の集客や情報発信のツールとして、Webサイトは必須の存在となりました。これからWebサイトの構築を検討している場合、踏まえておきたいのが「モバイルファースト」です。近年スマートフォンやタブレットの普及により、Webサイトもモバイルデバイスで閲覧される機会が多くなりました。
「Webサイトの来訪数やページ閲覧数が少ない」「Webサイトからすぐに離脱されてしまう」といった悩みがある場合も知っておきたい、モバイルファーストデザインの概要やメリット、具体的な構築方法について解説します。
モバイルファーストデザインとは?
モバイルファーストデザインとは、モバイルデバイスでの閲覧時の快適さ、操作性を重視したデザインのことです。具体的には、スマートフォンやタブレットでの閲覧や操作を踏まえた、以下の要素を取り入れたデザインを指します。
- 小さな画面でも快適に閲覧できる
- タップやスワイプ、フリックなどの操作をスムーズにできる
- Webサイトやページの読み込み時間を高速化している など
なお、モバイルファーストデザインの一種として「スマホファースト」という言葉もあります。スマホファーストとは、特にスマートフォンでの閲覧を最重要視し構築したデザインのことです。
なぜモバイルファーストデザインが重要なのか?
近年、モバイルファーストデザインを重要視したWebサイトが構築されるようになりました。モバイルファーストデザインが重要視される背景にある理由を解説します。
スマートフォンの利用率が最も多い
近年、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスからのアクセスが急増しています。総務省発表の「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」によると、端末別のインターネット利用率(個人)は、「スマートフォン」(71.2%)が第1位で、「パソコン」(48.5%)を22.6ポイント上回る結果となりました。従来パソコンでのアクセスが主だったWebサイトは、モバイルデバイスの普及により個人が好きな時間を利用し、気軽にアクセスできるようになっています。
モバイルファーストデザインを導入したWebサイトやページを構築することで、企業はモバイルユーザーに対して効果的にWeb上での情報やサービスが提供できます。Webサイトの大多数を占めるモバイルユーザーへ適切な情報やサービスを提供することで、集客や認知度、利益アップといったビジネスの成果を得ることが可能です。
Googleが推奨するモバイルフレンドリー
モバイルファーストデザインを導入することで、検索エンジンの最適化につながり、Webサイトへの新規ユーザーの流入増加にもつながります。Googleでは、有益なWebサイトの要素のひとつとして「ユーザーエクスペリエンスの向上」を挙げており、モバイルファーストデザインを取り入れたWebサイトも強く推奨しています。
その一環である2019年7月より順次導入されている「モバイルファーストインデックス(MFI)」は、モバイルフレンドリーなWebページはモバイル版の検索結果の掲載順位が引き上げられる仕組みです。モバイルファーストインデックスでは、小さなスクリーン上でも読みやすい、モバイルファーストデザインを導入したWebサイトが検索上位に表示されるアルゴリズムを取り入れた「モバイルフレンドリーアップデート」を随時行っています。
Googleの推奨するモバイルフレンドリーなサイトは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスでの閲覧に最適化された、読みやすく直感的な操作が可能なWebサイトです。モバイルユーザーのエンゲージメントやエクスペリエンスの向上をもたらすため、検索ランキングでも優遇され、上位表示されやすい傾向にあります。
ビジネスにおけるモバイルファーストデザインのメリット
モバイルファーストデザインを取り入れたWebサイトは、ビジネス上でも多くのメリットを得られます。ビジネスにおけるモバイルファーストデザインのメリットを4つ紹介します。
1)ユーザーエクスペリエンスの向上
モバイルファーストデザインを導入することで、モバイルユーザーが快適に閲覧できるWebサイトが構築できます。ユーザーは操作しやすい、必要な情報をすぐに受け取れるといった体験をWebサイトで得ることで、ユーザーエクスペリエンスや顧客満足度の向上にもつながります。自社や自店舗のWebサイトのリピート訪問が増えたり、ファンが増えたりといったメリットも得られるでしょう。
2)SEOランキングの向上
前述通り、モバイルファーストデザインを取り入れたWebサイトは、Googleも強く推奨しています。モバイルファーストデザインのWebサイトは、Googleからも高く評価されることで検索結果でも上位表示されやすくなり、SEO対策の上でも高い効果が得られるでしょう。
3)ユーザーコンバージョンの向上
モバイルファーストデザインを取り入れたWebサイトは、シンプルかつ操作のしやすい構造となっているのが特徴です。「得たい情報をすぐに得られる」「ページの読み込みが早い」「任意の場所をすぐにタップできる」といったようにユーザーもWebサイト上でアクションを起こしやすいため、ユーザーのコンバージョンの向上にもつながるでしょう。ユーザーが特定のページで離脱していたり、カゴ落ちが多かったりする場合、モバイルファーストデザインを心がけることで離脱やカゴ落ちを減らせるかもしれません。
4)異なるデバイスでの一貫性
モバイルファーストデザインを取り入れることで、パソコンをはじめとしたデスクトップデバイス、スマートフォンやタブレットのモバイルデバイスそれぞれでレスポンシブなデザインのWebサイトを表示できます。閲覧環境が異なっても一貫性のあるWebサイトをユーザーへ提供できるため、企業や商材、ブランドのイメージの統一感を保てるのがメリットです。
デスクトップデバイスとモバイルデバイスで表示されるデザインが基本的に同じになるということは、デバイス別でWebサイトのデザインを構築する必要もなくなり、制作に関する手間やコストを抑えられるメリットもあります。
成功事例の紹介
すでに大手企業ではモバイルファーストデザインを取り入れたWebサイトを構築し、多くのユーザーから支持を得ています。大手企業のモバイルファーストデザインの成功事例を順に紹介します。
InstagramはMeta社が提供する画像・動画共有プラットフォームです。Instagramは、Meta社がモバイルファーストのプラットフォームであることを明言しています。
Instagramには、以下のようなモバイルファーストの要素を取り入れたことで、2016年から2017年のInstagramでの動画視聴時間が80%増加などの成功を収めています。
- シンプルで視野的に訴える画像表示デザイン
- 直感的な操作性
- 写真や動画のアップロードや閲覧がスピーディかつスムーズにできる
- さまざまな画面サイズや解像度に対応した、異なるデバイス上での一貫性のある体験の提供
- Facebookフィード動画のスムーズなInstagramへの転用 など
Amazon
ECマーケットプレイスであるAmazonは、スマートフォンやタブレットに適したネットショッピングサイトを展開しています。2021年には、すべてのストア訪問数の69%がモバイルデバイスからの訪問となりました。
Amazonではモバイルファーストデザインを実現するための新しい取り組みを積極的に行っているのが特徴です。たとえばAmazon内のストアを構築するストアビルダー機能ではモバイルファーストアップデートを行っており、モバイルデバイス上でのストアの構築やモバイルビューでのストアの確認が可能となりました。
モバイルデバイス上でも直感的な操作によるシンプルかつスピーディな購入プロセスを実現することで、モバイルユーザーに快適な購入体験を提供しています。
Googleは検索エンジンからGoogle Docsまで、さまざまなサービスでモバイルを優先したアプローチを成功させています。シンプルで直感的なデザイン、高速な読み込み速度の実現のほか、ユーザーの利便性をさらに向上させるモバイルアプリのリリースにより、ユーザーエクスペリエンスを向上させています。
Uber
タクシードライバーやデリバリーパートナーとして、車やバイクを使った乗客の輸送、食品のデリバリーの提供サービスを展開しているのがUberです。Uberはモバイルアプリを利用するユーザーのニーズを重視し、シンプルで直感的な操作を実現しました。アプリの使いやすいUIと迅速な予約・支払いプロセスは、タクシーやデリバリーニーズを持つモバイルユーザーに好評で、移動や配達の手続きがスムーズに行えることが成功の要因となりました。
モバイルファーストデザインの具体的な手法例
モバイルファーストデザインを自社のWebサイトへ取り入れる方法はさまざまなものがあります。具体的なモバイルファーストデザインの手法をかんたんに紹介します。
モバイル向けのナビゲーション
モバイルデバイスでの閲覧は、パソコンでの閲覧に比べて横幅が狭いことから、多くの情報を表示させるには縦横のスクロールが多くなります。そこでページ内リンクを設けたモバイル向けのナビゲーションを設置することで、最短距離で欲しい情報へたどり着くことができます。シンプルで直感的なモバイル向けのナビゲーションメニューを左右に設置することで、スクロールによるストレスを減らしながらユーザーへ情報を提供できます。
タッチフレンドリーな要素
モバイルデバイスでは、タップ操作によって情報の選択や決定を行います。そこでモバイルファーストデザインでは、ユーザーが指でかんたんに操作できるように大きなボタンやリンクを設置しているのが特徴です。
デバイスの機能活用
モバイルデバイスには、カメラや位置情報などの機能が設置されています。Webサイトとデバイスの機能を連携させ、新しい体験を提供しているモバイルファーストデザインのWebサイトもあります。たとえばデスクトップ向けのWebサイトトップにQRコードを設置しモバイルサイトへ誘導したり、SNSのシェアボタンを設置していたりなどです。
地域特有の配慮
地域ごとの習慣や言語に対応したり、文化的な配慮を取り入れていたりするWebサイトもあります。たとえば地域のイベント情報や観光名所、地域ニュースなどの地域のユーザーに価値のあるコンテンツを設けるなどです。
モバイルファーストデザインにおけるSEOの重要性
モバイルファーストデザインを取り入れることで、ユーザーエクスペリエンスが向上するだけでなく、SEOにおいても重要な役割を果たします。Googleでもモバイルデバイスで使いやすいモバイルフレンドリーなWebサイトをモバイル版検索結果ページの検索ランキングの重要な要素とし、ユーザー向けに最適な結果を提供しています。
検索ランキング向上
Googleはユーザーエクスペリエンスの向上やモバイル利用の増加に対応する取り組みとして、2015年からモバイルフレンドリーテストを導入しています。モバイルユーザーフレンドリーテストは、WebページのURLを入力すると、モバイルデバイスにどのように認識されるかのスクリーンショットと、検出されたモバイルユーザビリティの問題の一覧が表示される機能です。
※2023年12月1日にモバイルフレンドリーテストがサポート終了し、Google Chromeの拡張機能であるLighthouse(ライトハウス)へ引き継がれます。
また前述通り、Googleではモバイルデバイスでの閲覧に適したサイトを検索ランキングで優先的に扱うようになりました。モバイルファーストに適したサイトが検索結果の上位に表示されることで、ユーザーはより使いやすいサイトにアクセスしやすくなります。
モバイルページ速度
Webページの読み込み速度はSEOにおける重要な要素のひとつです。モバイルファーストデザインは高速なページ読み込みを促進します。Googleなどの検索エンジンは、ページの読み込み速度を検索結果のランキングの要素として考慮しています。たとえば、Webページの読み込み速度を測定できるサービスとして、Googleでは「Page Speed Insights」を提供しています。
読み込みの速いモバイルファーストデザインを取り入れたページは、検索結果の上位に表示されやすくなる可能性が高くなるでしょう。
モバイルファーストインデックス
Googleは2019年からモバイルファーストインデックス(MFI)を順次導入しています。モバイルファーストインデックスとは、Googleが検索結果を生成する際に、モバイルバージョンのコンテンツのクロールとインデックスを行う取り組みです。ユーザーがモバイルデバイスでアクセスしたときの表示をインデックス登録できるようになったため、モバイルユーザーが検索時、最適な表示を提供できるようになりました。
Webサイトがモバイルデバイスでの閲覧に最適化されているかは、検索エンジンのランキングや表示順位に大きな影響を与え、ユーザーエクスペリエンスの向上とともにウェブサイトの可視性とアクセス性を向上させます。モバイルファーストデザインを取り入れたWebサイトは、Googleのモバイルファーストインデックスに上位登録される可能性が高くなるため、より多くのモバイルユーザーの集客が見込めるようになるでしょう。
※2023年10月31日、Google 検索セントラル ブログにてモバイルファーストインデックス(MFI)への移行が完了したことを発表しています。
モバイルファーストデザインを活用したWebサイトを紹介
呂久呂オンラインストア
自社や自店舗のモバイルファーストデザインを取り入れたWebサイトづくりの参考にもなる、モバイルファーストデザインを活用したWebサイトを紹介します。オニオン新聞社が運営する「チームNext!」では、千葉市にあるカフェ&ギャラリー呂久呂のオンラインショップである、「カフェ呂久呂」のWebサイト制作を手がけました。
パソコンとモバイルデバイスいずれでアクセスした場合でも、看板商品であるビジュアルを全面に出したトップページデザインを採用し、統一性を持たせました。モバイルデバイスでアクセスすると、ページ上部にメニュー、サイト内検索、マイページ、カートへアクセスできるナビゲーションを常に表示します。無駄なスクロールなく必要な情報にアクセスできるデザインにしました。
お知らせなどは画像を大きめにし、詳細情報を出したいときにもタップしやすいように工夫しています。
モバイルファーストデザインを上手に活用し成果あるサイト作りを目指しませんか
モバイルファーストデザインの概要やメリット、手法、事例について解説しました。スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスでの検索やインターネット閲覧が一般化したことを受け、今後もモバイルファーストデザインを取り入れたWebサイトのニーズは高くなることが予想されます。新しい客層へのアプローチや集客にもつながる、モバイルファーストデザインを取り入れたWebサイト制作をぜひ目指してみませんか。
これからWebサイトを構築したいとき、既存のWebサイトにモバイルファーストデザインを取り入れたいときには、オニオン新聞社が運営する「チームNext!」にぜひご相談ください。Webサイト構築だけでなく、運用やマーケティングなど、Webサイトに関するさまざまなお悩みや課題を解決するサポートをご提供します。